先日第165回の「芥川賞」と「直木賞」の発表がありました。
毎回どんな作品が受賞したのか気になります。
その他の賞として気になるのが本屋大賞です。
一般に日本国内の文学賞は主催が出版社等で選考委員が作家、文学者であることが多いですが本屋大賞は新刊を扱う書店の書店員の方達の投票で決定されますので、目線がより庶民的と感じます。
先日2021年本屋大賞の第1位を取っている作品町田そのこ氏著書「52ヘルツのクジラたち」を読みました。
現代の大きなテーマ分断、虐待、介護、LGBT等を一つの物語の中で展開し改めて前回ブログで書きました「気づき」の大切さについて考えさせられました。

タイトルからクジラのエピソードかと思いますが、内容は自身の人生を家族に搾取されてきた主人公の女性と、虐待を受けその為言葉を失った少年との出会いから始まり、少年の心の傷を自分自身の辛い過去と重ね理解しようとする行動から関係性が深まっていく話です。

少年の言葉にならない心の叫びを如何に気づくか?
色々な方法で少年にアプローチしていく姿は切なく本当に胸が痛くなりました。

52ヘルツのクジラとは・・・
他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で一頭だけのクジラ。たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。その為、世界で一番孤独だと言われている
と本の帯に書いてありました。

今コロナ禍で人との関わり方が難しい中寄り添う覚悟の大変さ、人との距離感を改めて考えさせられた素晴らしい作品でした。

自分は身近な人でも声なきSOSを感じ取れる感性を持合せているのか、見つめ直さなくてはいけないと思えるきっかけとなりました。

金子 孝一