前回は私の初めての海外旅行にも関わらずツアーの日程通り帰国せず、一か月遅れの帰国で家族・旅行会社・同行参加者の多くの人に心配と迷惑をおかけしたと書きました。
何故そのような状況になったのか?
ヘルシンオア(Helsingør)近くの「ソウルバッケン」に3日間滞在し、私は風邪を引いていたので少し休み体調を戻しデンマークを回りたいと思っていました。
滞在中時間があったので自転車を借り近くを回ったり、ご夫婦(奥様リリーさん・ご主人ニルスさん)が庭でコーヒーを飲みながら夕食用のジャガイモの皮をむいているのを手伝ったりして、少しでも会話をして語学や文化を学びたいと思い積極的に声をかけお手伝いをしました。
コウイチはお客さんだから手伝いはいいよと言っていましたが、私はコーヒーをお駄賃に下さいと言ってジャガイモの皮をむきながらつたない英語、スウェーデン語(奥様はスウェーデン語・ドイツ語も話せます)、デンマーク語とちゃんぽんで話し一緒にいる時間を増やしました。
何より自分のアルバイトだけのお金では旅行代金が足りなかったので両親から援助してもらい参加した旅でしたので一分一秒も無駄なく有効に使いたいとの気持ちもありました。
又ご夫婦も日本人は初めてだったので、日本の印象を悪く思われたくないと思っていました。
無我夢中で話を聞いたりしていましたので滞在中英語やスウェーデン語の夢を見ました。
3日間が過ぎ、童話作家アンデルセンの生家があるオーデンセへ旅する時大きな荷物が邪魔になるので帰国の2日前にこちらに立ち寄るのでと荷物を置いてホテルを出発しました。
デンマークを巡る旅も色々な出会いがありました。その当時北欧に留学している日本人は少なく途中旅していると日本人ですか?と声を掛けられ話すと留学の苦労話を話されていました。
きっと日本語を話したかったのですね。
その旅も楽しく終わり帰国の2日前に又「ソウルバッケン」へと戻りご夫婦たちと旅の話をしている中で「帰国したくないなー」と話したら「もっと泊まっていけば良い」との返事。私は「いやいやお金もないので・・」「いやーお金はいらないから」と「そんな事は出来ない・・」
そんなやり取りをしていたらご主人ニルスさんと奥様リリーさんが「ここでアルバイトすれば良い」との話。私は「お金は貰えないので食事と宿泊無料でお手伝させてもらえれば」と・・・
そうしたらニルスさんが私の飛行機のチケットを見て航空会社に連絡してくれ帰国の日時を変更してくれました。
現地の日本人留学生との話を聞いても、アルバイトは中々出来ず日本料理店での皿洗いや道路掃除等しか見つからないと言っていたので、ホテルで働いたらきっと色々な事が勉強になると考えました。
それから私は両親に帰国が一か月遅れる事を手紙に書き速達で送りました。勿論当時はメール等ありません。
しかしその行動がいけませんでした。手紙ですから速達でも早くて5日間前後かかります。
何故電話しなかったのか?
電話代が高かったので学生の気楽さから手紙で大丈夫と思ったのです。浅はかです。
帰国予定日旅行会社の社長も成田空港まで迎えに来てくださっていたので、金子がいないと大変だったそうです。
ちなみに帰国の集合場所コペンハーゲンのカストラップ空港でも他の参加者の方達が私がいない事を心配されていたそうです。
私はそんな大変な事態を知る事もなく、呑気に鼻歌交じりでテラスを掃除している時にホテルの電話が鳴りご主人がコウイチ電話だよと声をかけてくれました。
誰だろう?何で?
この場所を知っている人はいないのにと思いながら「ハロー」と気楽に電話に出ると母親から「ハローじゃないでしょう!」「そこで何しているの!!」と続けざまに怒られました。
それはそうです。日本の事情を聞きひたすら謝りました。
旅行社の社長は先ず飛行機のチケットが私の意思で変更されたのか?
どこから連絡があり変更になったのかを調べ、ホテルからの連絡と分かりました。
「ソウルバッケン」は実は小さなホテルペンションですが有名で私もお手伝いしている時に分かったのですが、政府関係者の小さなグループでの研修もありました。
そのホテルからの連絡と言う事で直ぐに連絡先が分かり母親からの連絡となりました。
全く心配をかける息子です。
しかし私もこちらの事情を話し必ず夏休みが終わる残り一か月で帰国する約束をしてホテルの仕事を手伝いました。
労働許可書も持っていないのに今だったら大変でした。
次回はソウルバッケンでの生活を書かせて頂きます。
金子 孝一